映画 『ビッグ・フィッシュ』

ティム・バートン監督作品の 『ビッグ・フィッシュ』 を観た。
やたらと評判がいいので、レンタルになるのを楽しみにしていた。
(楽しみにしてもその程度で、映画館に行こうとまでは思わん)
「ティム・バートンの最高傑作」だとのこと。
バートンの作り出す、あの気持ち悪くかつ楽しげな独特の世界はけっこう好きだ。
(その割には 「バットマン」くらいしか観てないが……)

こちらのサイトでも評判が良い。
10点満点の評価で、平均8.18点。
『スター・ウォーズ』とほぼ同じ点、『風と共に去りぬ』『風の谷のナウシカ』よりも上にくる(あまりこのサイトのランキングにこだわっても仕方がないが)。
点数もさることながら、観た人のコメントがまた映画への興味をそそる。
9点、10点という点数をつけた人が多いが、時々いる4~5点の人も含めほとんどの人のコメントが

泣いた
泣いた
泣いた
泣いた

ばかりなのである。
単に「泣いた」だけではない。
「映画館で号泣した。田舎の映画館なので、客が8人しかいなくてよかった」(男性)
といった感じの、「激しく泣いた」という人が非常に多い。
で、僕が今日 『ビッグ・フィッシュ』 を観た感想はというと、

この映画のいったいどこで泣くんスか?

悪い映画だとは思わん。
ほほえましいし、楽しい。映画の作りがていねいだ。
だが、どこに感動する要素があるのか?
ホラ吹きの、と言って悪ければイマジネーション豊かな親父の、現実と空想が入り交じった思い出話が延々と続く。
例によってバートンのユニークな世界の中で繰り広げられるから、つまらなくはない。
特に話として面白くはないし盛り上がりもないが、あまり退屈せずに見られる。
だが、観た人の言う 「巨大な感動」は最後まで無かった。
もしかすると、親父が息子に伝えたイマジネーションと愛を、それを理解してなかったように見えた息子が本当は理解していたという落ちなのか……?

まあこの映画のことはいい。
こっぴどく叩くほど嫌いな映画じゃないし。
問題は、なぜあれだけ多くの人が泣いたのかが分からないことだ。
僕の精神構造が特殊なのかもしれん。
まあ実際そうかもしれないし、それでも別にかまわないのだが、それにしても観た人のほとんどが「泣いた」という映画にまったく感動しなかったのは少々残念だ。
その理由を考えるのは今後の課題としておく。

人が感動するポイントはそれぞれ違う。
映画 『ビッグ・フィッシュ』 に関しては僕は間違いなく少数派に入るようである。

先日たまたま見た報道番組も親子の話だったが、こっちは泣けた。

とある地方のラーメン屋の息子が独立し、都会で店を出す。
だが味が悪いのか、さっぱり客が入らない。
息子は電話で何度も父親に 「来てくれ」と頼むが、安易に助けると息子のためにならないと分かっている父親は断り続ける。
だがある日突然、父親は連絡もせずに息子の店を訪ねた。
驚く息子にラーメンを作らせ食べてみると、やはり味づくりの決定的な部分が間違っていた。
父親は息子とともに厨房に入り、それを息子に思い出させる。
そして息子は自信を取り戻す。

数日後、田舎に帰る日の朝、父親は息子の店へ、帰ることを告げに行く。
戸口から 「それじゃ、帰るよ」とだけ言う。
息子はお父さんに近寄るが、言葉が出ない。
ただ、その手をとって泣くだけ。

僕はこの光景を思い出すたびに泣けてくる。
つくづく、人の泣くポイントはそれぞれ違うものである。
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by SAKICHI_I | 2004-11-27 22:34 | その他 | Comments(0)


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