レブロン・ジェームスの「The Decision事件」(MIA入り)は、僕にとっては近年で最も衝撃的な出来事の一つだった。これまで数年応援してきた選手が、プロ選手として一番してほしくない行動をとったわけである。今のところ一応アンチになる気はないが、かといって応援する気もない。従って、来季応援する選手・チームがない。のみならず、NBA自体に幻滅を感じた。
NBAのこの時期は、所属の決まっていなかった選手もどんどん契約し、各チームの陣容が固まってくる。例年ならばそれに応じ、スターターは新加入の○○だろう、ベテランの△△が安定している、いや新人の□□もあなどりがたい……といろいろと想像をめぐらす。それが、楽しみの一つである。 今年はそれを、やっていない。米メディアのどのサイトを見ても見出しと写真がHeatかLebron Jamesに関するものであることが多く、情報を読むことに嫌気がさすからだ。 僕のもう一つのスポーツ観戦対象である日本プロ野球の方はというと、セリーグではThe Decision事件のはるか前から特定チームへの戦力集中がおこなわれ、すでに「体制」として確立し、この先何年続くか見当もつかない。わがチームはこういう状況のなか、当然ながら下位に沈んでいる。従って試合を見ても、喜ぶよりは腹が立つことの方が圧倒的に多い。 そういうわけで僕にとっては、はなはだつまらん夏である。 僕がThe Decision事件以来、いや、正確に言えばカール・マローンとゲイリー・ペイトンのLAレイカーズ入り以来考えていることは、「スター集合を制度として規制する方法はないか」ということだ。 結論から言えば、無いと思う。もしあれば、すでにNBAがそれを導入していると思うからだ。 サラリーキャップの理念とは言うまでもないが、特定チームへの戦力集中・スター集合を防ぐことだ。ラリー・バード条項によって実際には各チームのサラリー総額には大きな差ができているが、かといって無制限にFA選手を獲得できるわけではない。サラリーキャップは、効果がある。それは、アメリカ大リーグや、各国のサッカーリーグと比べれば明らかである。 それでも現行のルールの下でスター集合は可能だし、実際に行われた。理由は簡単。選手が自らの価値よりも、契約額を下げればいいだけだからだ。サラリーキャップ制は、選手がそれをおこなわないことを前提としている。 例えば今年、レブロン、ウェイド、ボッシュの3人が130万ドルのサラリーでLALに入ることは理論上は可能だった。サラリーキャップの理念が実現されるかどうか、これはひとえに選手の意志という、極めて揺れ動きやすいものにゆだねられているのである。 で、こういう事をなんとか防げないものかと、考えてみた。前から思い浮かぶことは、一つある。それは、サラリー査定制度である。 リーグがその年のFA選手について、「最低○○○万ドルで契約しなければならない」と決める。大ざっぱに(1)大物選手(2)中堅(3)その他 のような分け方がいいと思う。 (1)大物選手:サラリーキャップから逆算し、大物3人を同時に契約できない額を最低額とする。単純に3で割る必要はないだろう。大物3人と契約すると、残り全額を使ってもロスター12人に到達しないというギリギリの額でいい。純粋に実力で査定するために、プロ入り年数に応じた増額はしない。 (2)中堅:ミドル額での契約不可 (3)その他:制限なし まあ現実には、ほとんど無理だと思う。この査定が各チームのFA獲得を左右しすぎる。となると当然、優勝戦線にも大きな影響を与える。リーグの一機関の判断がそこまで優勝に影響を与えることは好ましくない。各区分のライン上にいる選手については、特に激しく紛糾するだろう。 ある選手がFAになった年にサラリーキャップが空いているチームがなければ、あるいはキャップは空いているとしても「査定額ではいらん」とそのチームに思われた場合、旧チームに残留するしかなくなる。そのチームにも不要とされた場合、無職となる。 その他いろいろ、無数の問題が発生するだろうが、架空の話なので追求せずにおく。
by sakichi_i
| 2010-08-09 12:40
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Comments(2)
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Koo
at 2010-08-12 11:08
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(案1)ソフトキャップやめてハードキャップ
(案2)フランチャイズ指定トランジション指定選手制度を作って高額サラリーを保障する代わりに移籍権利を剥奪する。 かな?中堅以下の選手の移籍と選手寿命は短くなってしまう傾向が出ると思うけど今回の茶番よりはましかなーと思ってみたり。
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sakichi_i at 2010-08-12 21:34
>Kooさん
フランチャイズ指定~というのは知らなかったんで調べてみましたが、なかなか興味深い制度ですな。NBAの制限付FAに似たところもある。 NFLのことはまったく知りませんが、その制度の導入以前にはやりスター集合があったのではないかと推測します。
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