エルロイを一冊読んだ

ジェームズ・エルロイというアメリカの作家の 『ブラック・ダリヤ』(文春文庫)という小説を読んだ。
この作家に特に造詣が深いわけでも何でもない。
エルロイは、『LAコンフィデンシャル』という映画の原作者として有名な人。
僕はこの映画をおもしろいと思ったので、エルロイの他の作品を読んでみたいと前から思っていた。

さてこの 『ブラック・ダリヤ』。
正直なところ、おもしろいのかおもしろくないのかさえ、よく分からん。
だがとにかく、インパクトは強い。

一応ジャンルとしてはミステリーとされているようだ。
しかし、重要そうな手がかりが多少現れたり、犯人らしき人物が何人か登場するものの、読者に謎解きを要求するわけではない。
ただ殺人事件の犯人を探し求める刑事を巡って、愛憎と欲望、性と暴力が強烈に交錯する。

物語全体に満ちる退廃と腐敗。
作者はそれをとがめるでもなく、ただ淡々と描く。
それが逆に強い印象を残す。
これはリアリズムの小説なのだ。

この 『ブラック・ダリヤ』、映画化の話があるらしい。
映画化の権利を持っていたのはデヴィット・フィンチャーだったが、監督をするのはフィンチャーではなくブライアン・デ・パルマだという。
デ・パルマの映画監督としての印象は、サスペンス系の映画を無難にまとめるものの、飛び抜けた傑作を撮ることがない。
久々にデヴィット・フィンチャーの、カミソリのように切れる演出――時折血を吹き出すほどにするどい――を見たかった。
『セブン』で名を馳せたフィンチャーにとって、エルロイの小説は格好の素材になったかもしれない。
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by SAKICHI_I | 2005-02-18 02:10 | その他 | Comments(0)


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