ジェリー・ゴールドスミスの偉業

僕は不覚にも先日初めて知ったのだが、映画音楽の大家、ジェリー・ゴールドスミス氏が昨年7月亡くなっていた。
享年75歳。

ゴールドスミスがサウンドトラックを担当した主な映画は以下の通り。

猿の惑星、パピヨン、オーメン、カプリコン・1、エイリアン、スター・トレック、ランボー、ポルターガイスト、グレムリン、トータル・リコール、氷の微笑、エアフォース・ワン、LAコンフィデンシャル

これだけ多いと、どれが代表作か簡単には言えない。
上に挙げたのは、ゴールドスミスの担当した映画のほんの一部。
有名な作品から、そんな仕事まで受けなくてもと思うような全く無名のものまで、恐ろしい数の仕事をやってのけている。
その数、約40年間の活動期間において、170本。
このことから、昨年まで数十年という長期間に渡って、ハリウッドは 「困った時のゴールドスミス頼み」状態だったということが推測できる。

ゴールドスミスの音楽は、意外と印象に残らないものが多い。
僕もこれを書くために調べていて、ゴールドスミスが音楽をやったと初めて知った映画も結構あった。
これは、同じく映画音楽の巨匠であるエンニオ・モリコーネやジョン・ウィリアムズとは対照的だ。
彼らの音楽は、曲そのものが有名だ。
ゴールドスミスの音楽は映画の画面と一体となっていて、音楽単体で思い出されることがない。
音楽が自己主張をし、映像を邪魔することがない。
その意味で、作曲家としてはもちろんのこと、「映画音楽家」として最も高い技術を持っていた人だった。
このことは、ゴールドスミスがヒッチコックの 『白い恐怖』を見て映画音楽家を目指したこととも合致する。
人々が口ずさむような曲はモリコーネやウィリアムズの方がはるかに多いかもしれないが、総合芸術としての映画の質を高めるという意味では、ゴールドスミスの方が上ではないかと思う。
(余談だが、モリコーネの 『ニューシネマ・パラダイス』のサウンドトラックは音楽として独立して素晴らし過ぎるため、映画の方はもしかして凡作ではなかったかという疑念をいだかざるをえない)

今思い出すのは、『エイリアン』第一作のオープニング。
漆黒の画面に、五本の白い線が浮かび上がる。
弦楽器の地をはうような音色が徐々に高まると同時に、 A L I E N の五文字が少しずつ画面に形成されてゆく。
映像と音楽があれほどまで一体となって緊張感を高めていくシーンを、他に見たことがない。

今までゴールドスミスに頼り過ぎていたために、彼のような作曲家は二度と現れないかもしれない。
ハリウッドは大きな痛手をこうむった。
稀有の作曲家の冥福を祈る。
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by SAKICHI_I | 2005-02-20 17:19 | その他 | Comments(2)
Commented at 2005-02-23 12:39 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by sakichi_i at 2005-02-23 16:36
○○さん、初めまして(鍵コメントなのでこの表現で……)
感想をありがとうございます。
ゴールドブラムは『ジュラシック・パーク』の黒メガネの人ですね? まだ亡くなっていないようです(笑)。僕は正直名前を知りませんでしたが、ゴールドでそれを思い浮かべるとは映画をよく見ておられますね。


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