「はだしのゲン」問題

どうにも腹が立つ。自分でももう一つどういう言葉にしていいか分からないのだが、とにかく腹の虫が治まらない。

僕は広島の人間なので、長崎をのぞく他県の人々よりは多くの原爆に関する知識・教育を与えられてきた。「はだしのゲン」は確か、小学校高学年の時に読んだと思う。また原爆資料館にも、小学生の時に行った。

1)まず、「首をはねたり、女性を乱暴したりするなどの描写を問題視した」という松江市教育委員会の言い分について。
「はだしのゲン」という漫画の衝撃はすさまじい。僕はいまだに、いくつかの場面が脳裏に焼き付いている。しかしその衝撃のほとんどは、原子爆弾が引き起こした惨状の描写によるものだ。
松江市教委が問題にしているような場面は、言われてみればあったかとは思うが、この漫画全体の中ではほんの一部でしかない。そこだけ採りあげて子供に見せたくないというのは、極めてとんちんかんである。

2)もし松江市教委が上のように主張するのなら、問題とされる部分を塗りつぶせばいいだけだ。

3)上では「はだしのゲン」は衝撃だったと書いたが、それでもあくまでも漫画。作者・中沢啓治氏の絵は写真のようにリアルというわけではない。あえて言うが、それほど衝撃的であった「はだしのゲン」よりも、原爆資料館の写真の方がはるかに、はるかに衝撃は大きい。その意味で、よりリアルである写真や映像を問題にせず漫画だけ閲覧禁止にするのは、これまたとんちんかんな話だ。

4)僕の同級生を始め、多くの子供達が「はだしのゲン」と原爆資料館を見たが、それが悪い影響があったという話を聞いたことがない。


僕がさらに恐ろしいと思うのは、この問題に対する下村という文部科学相の発言だ。
「漫画の描写について確認したが、教育上好ましくないのではと考える人が出てくるのもありうる話だ」
松江市教委は一応、本音か建て前かは知らないが、僕の知る限り「教育上好ましくない」とは言っていない。「教育上好ましくない」ということは、年齢が上の人間もできれば読まない方がいいわけだ。この文科相は「はだしのゲン」をそう評価した。そして国民に対する検閲的意識があることを明らかにした。
一国の大臣である。このことの方が、一つの自治体の問題より、よほど恐ろしい。
[PR]
by SAKICHI_I | 2013-08-23 12:09 | その他 | Comments(0)


<< 歴史的偉業(の第一段階) 効果あり >>