安藤裕子はユーミンの再来か

良いミュージシャンであることの条件として、当たり前の話ではあるが、駄作が少ない、ということがある。
日本のミュージシャンはアルバムを通して聞くと、割と曲の出来にバラつきのあることが多い。
これは、日本と欧米の音楽業界で、アルバムというものの位置づけが異なることが起因している。

日本のレコード会社は、まず 「曲」 を作らせる。
何曲か発売し、ある程度知名度が上がってきて、アルバムを出しても採算がとれると判断すれば、アルバムを作らせる。
もしシングルが売れていれば、それがアルバムの最大のプロモーションとなる。
つまり、アルバムのとらえ方としては 「シングル曲+α」。
客の方も、あややのGOOD BYE 夏男が入っているアルバムはどれか?という目線でCDを探す。
従って、たとえシングルで良い曲を作っているミュージシャンでも、アルバムを“しょせんシングル集その他”ととらえて気合いが入っていない場合、あるいはアルバムを満たすだけの良い曲を作る力量がない場合、アルバムは 「少しマシなシングル曲+駄作集」 となる。
ただし、アルバムをいきなり出しても売れることが保証されている大物ミュージシャンについては、この限りではない。

欧米のミュージシャンは――少なくとも、僕にとってなじみのある英米では――アルバム制作が音楽活動の基本になっている。
アルバムをまず作り、そこからシングルカットという形で、まさに切り取るように1曲・2曲とシングルが発売される。
このことは、アルバムの質の向上のために二つの意義がある。
一つは、ニューアルバム発売当初はヒットシングルというプロモーション材料がないため、良いアルバムでなければ売れないこと。
もう一つは、最初からアルバム全体を視野に入れて制作するため、単なるバラバラの曲の寄せ集めではなく、いわゆる 「トータルアルバム」 として一つのまとまった作品として作ることができること。
一曲一曲のアルバム全体の中での位置づけを明確にしたり、あるいは極端な話、40分の長大な一曲だけでアルバムを作るという芸当もできるわけだ。

b0054053_23273747.jpgさて、安藤裕子である。
えらく前置きが長くなった。
要は何が言いたいのかというと、日本人のアルバムで駄作が少ない時、非常に優れたミュージシャンである可能性が高い、ということ。
先日、安藤裕子の1st Album 『Middle Tempo Magic』 を聴いた。
音楽的に特に新しいものはなく、いわばボーカルとメロディだけで聴かせるこのアルバム。
けっこういいよこれは。
今の時点で別にもう一度聴かなくてもいいと思った曲は、アルバム中で1曲しかない。
記事のタイトルでユーミンの再来か、と書いた理由はそれだ。
アルバム全体を埋めるだけのメロディを作り出す才能。

ボーカルは多少湿り気(≒色気)が足りないが、悪くないと思う。

ただし、安藤さんがいわゆる天才かどうかは分からない。
この人はけっこう遅咲きで、確かもう30歳近い。
もしかすると生涯に書きためた曲を、1st Albumで出し尽くしたのかもしれない。
荒井由美はすでに20歳前にデビューしていた。

ユーミンのもう一つの巨大な才能、あの魔術のように人を共感させる詞については、そのメロディセンスを越えることよりもはるかに困難だろう。
僕のように普段歌詞がまったく耳に入らない者でさえ、ユーミンの歌の歌詞にときどきハッとする。

いずれにせよ、安藤裕子である。
実はすでに2nd Albumが出ている。
1stを聴いている場合ではない。
2ndも、雑誌などでは評判が良い。
彼女が真のメロディメイカーであることを期待している。
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by SAKICHI_I | 2006-02-11 23:28 | その他 | Comments(2)
Commented by Reds at 2006-02-18 19:16 x
フジテレビの女子アナかと思いますた
Commented by SAKICHI_I at 2006-02-18 22:35
あの人が歌い始めた……わけではありません(^_^;)


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