『ZODIAC』——フィンチャーの汚点

デヴィッド・フィンチャーという映画監督は、つまらない作品を撮ったことがない。

『エイリアン3』(1992年)
『セブン』(1995年)
『ゲーム』(1997年)
『ファイト・クラブ』(1999年)
『パニック・ルーム』(2002年)

質的な多少のバラつきと興行的な成功/失敗の差はあるものの、どれもおもしろい映画だった。
緊張感のある画面を作ることに関しては、フィンチャーは当代随一であると僕は思っている。

というわけで、現在公開されている『ZODIAC』は、フィンチャーの映画監督キャリア初の凡作である。

何がつまらんと言って、とにかくストーリーがつまらん。
あそこまでストーリーがだめだと、演出がどうのこうのという問題ではない。
逆にあの脚本でおもしろい映画を作る人間がいたらびっくりするわ。
脚本も当然、監督の責任範囲内であろう。

連続殺人があり、それを追う刑事。素人(新聞社つきの漫画家)。いくつかのミステリアスなヒント。
ありふれたパターンである。
まあ、ありふれている事は別にいい。それが映画の良し悪しを決定するわけではない。

観客に何を見せたいのか、はっきりしない。
犯人と刑事・市民との対決を描くサスペンスではない。
犯人は少し現れてその後消え去るので、凶悪な犯人の姿は像は浮かび上がってこない。
謎解きを楽しむミステリーでもない。
事件の状況と被害者の人間関係の全容が明らかにされていないので、新事実が明らかになっても「なるほどそうだったのか」という驚きがない。

実際にあった事件をもとにしているらしい。
だから事実とあまりかけ離れるわけにいかず、劇的な展開にできなかった、ということは考えられる。
しかしそれなら、なぜこの事件をわざわざとりあげたか、という話になるわけで。
実話だからおもしろくなくても良い、などという理屈は興行としての映画には無い。

これらの要因は、この記事を書くために後で考えた。
実際に映画を見ている時は、小難しいことを考えるまでもない。
とにかく退屈だ。
2時間40分ぐらいはあっただろうか。長ったらしい映画である。
その間、少なくとも2回は寝た。トータル何分寝たかは分からない。

フィンチャーが今後おもしろい映画を撮り続けたら、『ZODIAC』は彼のキャリア中の汚点と呼ばれることになるだろう。
僕としては、ぜひそうなってほしいと思っている。
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by SAKICHI_I | 2007-06-28 15:07 | その他 | Comments(0)


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