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読むのが苦役:有川浩『旅猫リポート』

世の中につまらん創作物は星の数ほどあるので、いちいち叩いても仕方ない。だがこの小説の場合、単に退屈なだけではなく読んでいてムカついた。

ラジオでDJが、この小説が非常に良かったと言っていた。それで読んでみた。売れた本なのかどうかは知らない。有川浩という小説家の本を読むのは初めて。後で調べると売れっ子作家の一人で、ドラマ化された作品も多いようだ。

まずは、ストーリーそのものがつまらない。主人公の「善人」エピソードをこれでもかとぎゅうぎゅうに詰め込み、その偽善臭が腐臭になるまで詰め込んだ後で最後は……となる。
陳腐。極めて陳腐。
「泣け泣け」という作者の意図がページの全面に塗られ、ギラギラと生臭い光を放っている。泣かせようという意図で書かれた物語で泣けないほど、白ける事はない。

もう一つは、ギャグがつまらない。だけでなく、これも作者の「さあ笑え」というドヤ顔が背後に大きく見えるのである。自信満々で繰り出したギャグが、ことごとく滑る。文章そのものに可愛げがない。

タイトルの通り、猫が登場する小説である。多分、猫や他の動物が好きだったり飼っていれば、僕よりははるかにこの小説に共感できるのだろう。僕自身は実家で犬を飼っていたり、小鳥を飼ったりした。猫は好きでも嫌いでもない。いずれにしてもこの小説が「分かる」という人の気持ちは分からないので、あまり考えても仕方がない。

猫小説といえば日本で最も名高い小説の一つ、漱石の『吾輩は猫である』がある。こっちの方は非常に好きなので、あまり猫が好きかどうかは小説の評価に関係ないような気もする。
先日ふと思い立ち、何年ぶりか何十年ぶりか分からないぐらい久しぶりにこの小説を読んだ。驚愕した。これほど一文一文に笑いが濃厚に凝縮されている文章は、現代も含めて他に無いのではないか。僕は読みながらたびたび、笑うよりも先にその文章の精巧さに感動した。
難癖をつけるなら、少々長すぎる。ストーリーに起伏がないので、後半は飽きてくる。『坊っちゃん』ぐらいの短さであれば、何の文句もなかったと思う。
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by SAKICHI_I | 2015-05-18 16:37 | 雑記 | Comments(0)