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巨星

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David Bowie……
印象として強いのは、時代の先端を走り続ける天才ではなく、晩年の、もがき苦しんでいる姿。前者の栄光の時代を、僕がリアルタイムでは知らないという事情もある。
1980年代にナイル・ロジャースと組んだ。いわゆるディスコサウンドだった。コアなファンや評論家からは「迎合した」と言われた。裏腹に、アルバムは世界的大ヒットとなった。
次のアルバム。また同じ路線だった。しかしヒットしなかった。ある音楽雑誌は「ヒットを狙って失敗した時のみじめさだけが漂う」とまで書いた。
さらに次のアルバム。今度はボウイの「原点」に回帰した。一歩先の音楽を作ろうとした。しかし、できなかった。このとき音楽雑誌は「『Let's Dance』で時代に追いつかれた代償は、あまりにも大きかった」と書いた。一度おさめた刃は、確実にさび付き、切れなくなっていた。
その後、いくつかのバンドを組んだり、ソロに戻ったりした。試行錯誤、暗中模索した。その姿勢だけは、かつての、全世界のミュージシャンが追いつこうとしてとうてい追いつけなかったボウイだった。

時代はボウイの先端性・音楽性をしゃぶり尽くし、ボウイさえも時代遅れにした。しかしそのおかげで、ロックは三歩も四歩も五歩も前進した。
ボウイがいなかったら、ロックシーンは今の姿にはなりえなかった。これは断言できる。

珠玉の名曲の数々。その中でも個人的には、“Ashes to ashes”を推したい。
「やるせなさ」というものを、これほど音楽に置いて具現化した例を他に知らない。

ご冥福を祈る。

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by SAKICHI_I | 2016-01-12 14:20 | その他 | Comments(0)