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ギルバート・アリーナス、シカゴの観客を黙らせる

●Washington 112, Chicago 110

このシリーズで初めて、アウェイのチームの勝利。
もしウィザーズがシリーズを制すれば、今日の試合がポイントだったと後に言われるだろう。

3Qには最大22点離されたにもかかわらず、ブルズは追いついた。
これ自体がほとんど奇跡のようだった。
3Q~4Qと徐々に差を縮め、4Q残り5:11には6点差まで詰める。
だがここから縮まらない。
点を取っても取られ、抑えたら抑えられ。
残り0:42に至ってもまだ10点のビハインドがあった。
選手の後に映るスタンドでは、観客が通路に向い始める。

0:39 ジャネロ・パーゴ(CHI)、インバウンズ・パスを受け取りざま3ptを決める。7点差
0:38 アリーナス(WAS)、FT1/2。8点差
0:28 ゴードンがドリブルミスしルーズボウルになりかけたのをパーゴが拾い、自ら3pt。5点差
0:25 ジェイミソン(WAS)、FT0/2。5点差変わらず
0:11 右ウィングでダブルチームを受けたパーゴは左ウィングのハインリックにロングパスを飛ばす。ハインリック3pt。2点差
0:11 ヒューズ(WAS)、FT1/2。3点差


次の攻撃、残り0:09でファウルをされたハインリック、FTラインへ。
しかしハインリックは1本目をミスしてしまう。
2本目、どうやらこれは意図的に外し、リバウンドから得点を狙うという手に出た。
もし逆にリバウンドを相手に取られれば、決定的に不利な状況になる。
賭けだ。

その運命のリバウンド、大男が争ってボールをつかめず、ハインリックの方へ転がった。
ハインリックはボールを取り、これを想定して瞬時に3ptラインの後ろへ下がったパーゴへ。
パーゴが40秒足らずの間に放った3本目の3ptシュートは、その前の2本と同じようにリングの間を通った。

試合時間にして1分ほど、実際の経過時間でほんの5分ほど前に席を立った観客がラジオか何かでこの場面を聞いていれば、実際に見られず悔しがったか、あるいは喜んだか。
これがNBAだ、としか言いようのない瞬間。

まだウィザーズの攻撃に5.2秒残されている……が、会場全体が延長を望んでいる。
おそらくTVの視聴者も、WASファン以外のほとんど全てがそれを望んだはずだ。
この激闘を少しでも長く見たい。
だが少なくともギルバート・アリーナスだけは、この雰囲気に呑まれていなかった。

トップの位置でボールを持ったアリーナス。
時間を2秒を使った後で、マークするハインリックを左から抜きにかかる。
なかば抜いてからフリースローライン左の位置でストップジャンプして放ったシュートは、ハインリックの手を越え、ヘルプに来たチャンドラーの上を越え、空中にある間にブザーの音を聞いてから、リングに吸い込まれたのであった。

会場全体を敵に回して仕事ができるかどうかは、スーパースターの一つの要件となる。
後にアリーナスがそう呼ばれるようになれば、この試合は彼のキャリアのハイライトの一つとして記憶されることになるだろう。
もう5分見られることを喜ぼうとしていたこの激戦。
残念ながら延長に及ぶ死闘、劇的な逆転のどちらでもないまま終わった。
僕としては劇的なブザービーターが見られたこと、しかし延長が見られなかったことから、複雑な余韻を残した試合だった。
by SAKICHI_I | 2005-05-06 00:29 | Comments(2)
Commented by 酒井 at 2005-05-06 00:48 x
わたしもこの試合は4Q途中から真剣に見始めたのですが、すごいフィニッシュでしたねぇ。本当にアリーナスがMJに見えましたよ。パーゴもあっぱれでしたが、ここぞというところできっちり仕事ができるというのはスーパースターですね。
Commented by 佐吉 at 2005-05-06 11:34 x
>酒井さん
20点差を追いつくのもプロなら、それを全部無かったことにするのもプロですねえ。
WAS、CHI双方のプレーオフが初めての若手たち、臆せずいい試合を見せてくれています。この両チームが闘い、少なくとも1チームが残るのとになって良かったのかもしれません。


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