オーランドの賭けを支持

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FAのラシャード・ルイスがサイン&トレードでマジックへ。
ルイスがマジックと合意していることは確定事項だったが、S&Tになるという情報は目にしていなかったので少し驚いた。
それにより、契約が当初の予定の5年から6年に伸びた。

契約額は、APの記事では1億1000万ドル余りとなっている。
他の記事によれば総額1億1700万ドル。
仮に1億1700万ドルとし、年ごとのサラリー上昇率を上限の10.5%とすると、各年次のサラリーはおよそ以下のようになる。

07-08 $1500万
08-09 $1660万
09-10 $1830万
10-11 $2030万
11-12 $2240万
12-13 $2470万

先日決定した来季のサラリーキャップは5563万ドル、それに応じて決まるサラリー最高額は9年目のルイスの場合、初年度1565万ドルとなっている。
従って僕のルイスのサラリーの推算が合っているとすると、最高額にわずかに届かないぐらいの額の契約、ということになる。
ただし正直なところ、あの計算については自信がない。

いずれにしても間違いないのは、かなりの巨額であるということ。
5年目のサラリーは、現在最高給であるケビン・ガーネットの2200万ドルさえ上回る。
巨額であるがゆえに、この契約は物議をかもすであろう。
サラリーキャップ制のもとでは、高額契約の失敗はチーム経営を非常に不利な状況にする。

僕は個人的には、マジックのこの決断を支持する。
いや、支持する……とまではいかないが、強固に反対する理由は見つからない。
その主な観点は以下の三つ。



あるレベル以上の選手がMAX契約となるのは、やむを得ない。
現在の高額サラリーの上位30人の中に、フィンリー、マーブリー、アイバーソン、ウェバー、フランシス、ベン・ウォレス、キリレンコ、オドム、ビビーがいる。
MAX契約、あるいはそれに準じる額の契約だろう。
現状の彼らの活躍と評価からすると、その契約は失敗だった。
契約する前に、その選手の将来まで正確に見通すことはできない。
特に年齢が高めの選手の場合、その晩年のサラリーをどぶに捨てるようなことになる危険性が常にある。
最初の数年に期待し、最後の2年ぐらいはご祝儀契約なのである。



サラリー全体が、年々上昇している。
2000-01年以来のサラリーキャップの推移は以下のようになっている。

00-01 $3550万
01-02 $4250万
02-03 $4027万
03-04 $4384万
04-05 $4387万
05-06 $4950万
06-07 $5315万
07-08 $5563万

02-03年以外、毎年上がっている。
この額によってサラリー最高額が決まるので、当然それも年々上昇している。
サラリーキャップはNBAの収入全体の何%と決まっているから、収入自体がかなり急激に、しかもコンスタントに増えているということになる。
アメリカ国内におけるNBA人気の停滞が見られる状況でなぜこういうことになっているのか、よく分からん。

00~07年のサラリーキャップの上昇率は、年平均6.9%。
もしこれがラシャード・ルイスの契約の最終年まで続くとすると、12-13年にはキャップ額は7765万ドルとなる。
アメリカの物価上昇率はだいたい年2~3%らしいから、キャップ上昇が本当にこんな高率で続くかどうかは分からない。
しかし現実に、00年から07年までその上昇が続き、キャップ額は2000万ドル増えた。
だから12-13年に7765万ドルとなることも、無いとは言い切れない。

仮にそうなったとすると、その時若手のMAXは初年度1940万ドル、ベテランは2330万ドル、超ベテランは2700万ドルとなる。
今みると、まさに目玉が飛び出るような高額である。
だがキャップが7765万ドルとなっているのだから、サラリーのキャップに占める割合という意味では、現在とあまり変わらない。
それも当然のことで、もともとこの制度がそういう風にできているからである。

要するに何が言いたいのかというと、契約が新しければ新しいほどサラリーが高額になるのが今の流れであり、その上昇率が我々の物価上昇の感覚よりずっと上なので、その額が示されるたびに驚いてしまう、ということだ。
ルイスの契約は新サラリーキャップが決定して初の大型契約なので、非常な高額に見える。
その時その時は1500万ドルかよ、2000万ドルかよ、と驚いても、NBA全体の流れの中では特記するような高額ではない。
少なくとも、ルールに従ったサラリー額であれば。
かつてのケビン・ガーネットのように、ルール改正の隙間に生まれたような超高額の場合は、他チームよりも格段に経営に苦しむことになる。

今年はもう大型の契約がない。
来季以降、ルイスの契約を超える額がいくらでも現れるだろう。



以上のような理由で、僕はルイスの最高額(?)契約は妥当、もしくは仕方がない、と思う。
だが、だとしても、果たしてルイスはORLにフィットするか、ORLを強くすることができるのか……?
それができないのなら、いくらNBA全体について大げさな説明をしたところで、ルイスの契約は失敗と言わざるを得ない。

これについても僕は、楽観的に考えている。
HCのスタン・バンガンディも言っているように、中で強いドワイト・ハワードがいるマジックに外のシュートがうまいルイスが入ることで、バランスが良くなる。
それにルイスは単なるシューターではなく自らチャンスメイクもでき、他人に頼らずにシュートを決めることもできる。
(いわゆる「ピュアシューター」は、チーム状況により成績が激変してしまう)



以上のような事を書いてきたが、ルイスの獲得とあの契約を全面的に賛辞するわけではない。
ルイスをMAXに契約に値する選手だと確信はしていない。
だが、強くなることにチャレンジする時、リスクを避けることはできない。
僕はマジックの選択がベストかどうかは分からないが、ベターの一つであることは間違いないと思う。

マジックは来季以降、キャブスの大敵として立ちはだかることになるか……?
その時はその時だ。
今はとにかく、ドワイト・ハワードという楽しみな若者に、活躍の場が広がったことを喜びたい。
キャブスについては他チームのことよりも、自分のところが来季以降も強さを維持できるかどうかを心配しなければならない。
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by SAKICHI_I | 2007-07-13 01:36 | NBA関連 | Comments(4)
Commented by サクラ at 2007-07-19 17:08 x
今のサラリー制度は複利計算をしないはずなので
ルイスのサラリーはMAXだと思います。
ルイスは前回のサラリー更新でどこからも希望額で
声がかからず悔しい思いをしたと思いますが、今回
の更新では見事自分の価値を回りに認めさせました
ね。

しかしミリをあきらめた事により少しインサイドが
寂しくなったのではないかと・・・
Commented by 佐吉 at 2007-07-19 23:37 x
>サクラさん
そうでしたか!ご指摘ありがとうございます。完全に複利計算をしていました。どうりで計算がぴったりにならなかったです(^_^;)
僕はミリシッチに潜在能力があるような気がしないので移籍はあまり痛いとは思いませんが、ORLのインサイドはハワード以外「頭数」のような状態になってしまいました。
Commented by ぐら at 2007-10-14 21:31 x
はじめまして。nbaのサラリー関連をgoogleしたらたどりつきました。
昨今のnbaサラリーについて心を痛めている者です。この記事にありますルイスの契約にしても、オールスター未出場の選手に払いすぎだし、また自分が贔屓にしているキングスがKマート(新)に5年55ミリオンというのも、バカげています。
http://www.hoopshype.com/salaries.htm
というサイトを見ているのですが、ほとんどのチームがキャップをオーバーしてるんですよね。佐吉さんがご贔屓にされてるキャブスも、ヒューズ、スノウあたりがちょっとツライです。逆にグッデンは素晴らしい!そのうちデトロイトのプリンスみたいにロールプレイヤーが1000万越えというのも珍しくなくなるのかもしれません。なんとか歯止めがかからないものかなーと思っているのですが。
Commented by SAKICHI_I at 2007-10-15 00:42
ぐらさん、どうも初めまして( ´∀`)ノ
コメントありがとうございます。
本当に昨今のNBA選手のサラリー高騰は、頭が痛いですねえ。そうなんです、ヒューズがあの額と年数で契約したとき、びっくり仰天したんですよ。あの時キャブスはも待ちに待った、サラリーキャップの空いた年でして。いくらレッド勧誘に失敗したからといって、ヒューズなんぞに大金を払うことはない、となげきました。その不安が(残念ながら)的中しました。
それに比べればキングスのKマートはいいなあ、と本気で思っています。あの額でいいから、ヒューズと替えて欲しいです(^_^;)
いずれにしても、各チームのファン、選手のサラリーには悩ませられますねえ。活躍してほしいが、かといってサラリーが大きくなると困る。まあ選手も1ドルでも多く欲しいでしょうが、実力に不相応の高額サラリーをもらって叩かれるのは自分ですし、もう少し自重してほしいですね。


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