イがバックス入団に転じた理由

という内容の記事がESPNに出たので、読んでみた。
もう一週間前のことで、目新しい話ではない。

出場時間20分を保証した

ということらしい。
大手メディアのサイトをざっと見たところでは、ESPN以外はこの事をとりあげていないようだ。
見出しには無かったので、少なくとも大きく扱ってはいない。
ESPNの独自取材であることもその理由の一つだろう。
情報源は交渉者に近い筋。
以下、その情報が事実だと仮定して書く。

わたしゃ、かなり大問題であるような気がしてならん。
結構よくある事なのだろうか?
アメリカ人の感覚では、これが事実であったとしてもかまわないのだろうか。

NBAのような高いレベルのリーグでは、まず自分の出場時間を獲得することが大変だ。
シーズン前からプレイタイムが約束されているのは、一部のスター選手だけ。
残りの時間を、新人と、膨大な数の中堅選手が死にものぐるいで奪い合う。
彼らにとって、まず最初の敵はチーム内のポジションがかぶる選手であり、相手チームではない。
自分がクビになってしまえば、チームが優勝しようが何をしようが関係ないのだ。

なのに、NBAで何の実績もない新人が、20分を保証される。
待遇としては、破格の中の破格。
他の選手にしてみれば、アホらしてやっとられんわと思うのが当然だ。
選手がチームに対し、決定的な不信感を持つであろう。
バックスはその事が、まったく恐くないのか……?
イ以外でこういう事例がどれぐらいあったのか僕は知らないが、噂という形ではあっても表に出てくることはほとんど無かったと思う。
ほとんど、というのは僕が知らないからそう書いただけで、実際にそういう情報を目にしたことはない。

この「密約」を進めたのはバックスのオーナー自身であるという。
まあ当然でしょうな。
こういう事が、GMの独断でできるとは思えん。
また、GMやコーチがこういう事をやりたがるとも思えん。
コーチの権限にまで口を出すことを条件にして入団する選手なんぞ、使いづらくて仕方がない。
もちろん、イ・ジャンリン個人という意味ではない。
イという形になって現れる、中国政府である。
まだ20歳にもならない若者が、こんな傲慢な要求をするわけがないし、彼自身はできるだけプレイタイムを多くもらいたいのは当然だが、それを密約にこぎつける力があるわけがない。

イが出場時間20分に値するような好選手であれば、まだましだ。
そうでなければイの待遇は、バックスの他の選手にとって我慢ならないものになるであろう。
コーチとしても、いくらオーナーとは言え素人に自分の領域を侵されては、たまったものではない。
しかもイの事例は、このオーナーが他の部分でも口出しをしてくる可能性が高いことを示している。
シーズン途中でチームが崩壊する可能性もある。

オーナーのコール氏は、上院議員にして大企業の社長。
中国のマーケットと利害関係がある。
チーム自体の利益向上に熱心なのならともかく、チームをチーム外の企業や人間の利益のために利用するような人物は、スポーツチームの所有者になるべきではない。
[PR]
by SAKICHI_I | 2007-09-10 20:12 | NBA関連 | Comments(3)
Commented by Reds at 2007-09-11 09:44 x
はなから守る気がない密約なんでね?なんて思ってます。
あとはキャップ計上もされないんで、金で解決するってことで。

そういえば密約のほかに裏金も渡してるって噂も出てますなー
Commented by SAKICHI_I at 2007-09-11 14:19
>Redsさん
守る気がないですかねえ。むしろその方がいいですね。スポーツに、スポーツ以外の利害を持ち込むのは最悪です。イにとってもそんなのはない方がいいと思うんですよね。彼の選手人生、これからずっとプレイタイムを自らの力で勝ち取っていかなきゃいけないわけですから。
イが活躍して自然に30分ぐらい出るような選手だと、密約の話がうやむやになってなんか腹が立つので、ちょっとしたアンチ・イになりそうです(^^;)
Commented by SAKICHI_I at 2007-09-11 14:23
追記
もし密約がほごにされたらオーナーのコール氏と中国政府の間に深い溝ができるでしょうが、自業自得です。


<< 週刊朝日、姑息な小細工 「台風上陸」という妙な言葉 >>